日本の色の美しさについて
日本人は色彩感覚の優れた民族である
これは私の好きなこの本に書かれた文章の一節です。
この本にはたくさんの日本の色と、美しい色名が羅列しています。
漢字の美しさや色名の読みの響きにもうっとりしてしまいます。
花の色は微妙です。
そんなときにこの本に記載されている色と見比べながら、あぁこの色だ。って探す楽しさもあります。
花の色はほんとうにたくさんです。
目に映るすべてのものには色があり、
見れることができることはありがたいことですね。
以下 本より抜粋↓
世界と日本の色彩感覚-「かたい色彩」と「やわらかい色彩」
日本人は世界の中でも稀にみる色彩感覚のすぐれた民族である。このことは中国や欧米の伝統的な色彩、配色と比較してみるとよくわかる。中国や西欧では原色を軸とした、はっきりとした色を好み、配色にしても、その強い対比で人目を引くことを基本としている。これを「かたい配色」と呼びたい。
これに対して、日本では伝統色の名前からしても紅梅色、藤色、浅葱色、鴬色、海老茶色といったようにデリケートな色の違いを表現する色名があり、配色にしてもその組み合わせに微妙な感覚をもっていた。こうしたものを「やわらかい色彩」と呼ぶことができる。
じつを言うと、日本人は「やわらかい色彩」のみならず「かたい色彩」も両者を併せ持っていて、色彩の達人である。もっとも今日では色彩の世界でもグロバリゼーションの影響で欧米化し、やわらかな、デリケートな色彩感覚を失いつつあるのではないかと思われてならない。
(京都市立芸術大学名誉教授 佐野 敬彦先生)
紫色系でもこんなにたくさんの種類です。
ピンク系もたくさんです。
おなじみの生成り色とは実は最近の色
生成色(きなりいろ)とは、晒す前の木綿のようなわずかに赤みがかった黄みの白色のことです。「ナチュラルカラー」が流行した昭和になって生まれた色で、染めたり晒したりしていない生地を指していた「生成り」が色名として一般化しました。
※晒す=漂白
高度経済成長末期の日本では、それまでの急速な工業化のツケともいうべき公害問題などが深刻化してきました。そのため生活者はしだいに反工業の意識が高まり、自然志向が強くなっていきます。こうした流れから、色彩志向も自然の色である「ナチュラルカラー」や「アースカラー」が流行しました。
『生成色』は、そんな70年代当時の日本の色彩を象徴する色の一つです。
本を買わなくても、ネットで色が見ることができます。
「和色大辞典」「伝統色のいろは」など調べるとたくさんあります。
この本の画像を勝手には載せられないので伝えづらいのですが、
日本人の美の結晶である素晴らしい美術工芸品がたくさん掲載されていて、
(絵画・武具・彫刻・陶磁器・漆芸・染織)など)
技術もさることながら色の配色やバランスを楽しみながら、また良きお手本として鑑賞することができます。
みなさまも日本の伝統色に興味を持ってもらえばうれしい限りです。
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